烏天狗

ごきげんよう。ねぶとりです。5月皐月になりました。

 春の花達は、あっという間に咲き終わり、例年の如く梅、桃、桜、椿、李と一斉に咲いたのですが・・・2月の大雪、会津観測史上最大積雪、つまり雪女ゆきちゃんの大暴れの御蔭で様々の木達が枝ばかりか、半分に折れてしまったり、根こそぎ折れたり、しまいには、ねぶとりが玄関に飾った花束の中にあったのを挿し木して根付かせた「啓翁桜」が少しずつ大きくなり、数年他の桜に先駆けて花をつけるのを楽しみにしていたのに、全く咲かず、芽すら付けなかったのでおました。植木屋さんの話では、枯れてしまっているとのこと(T_T)

 枯れた木をそのままにはしておけず、泣く泣く切ってもらい、熊野権現様の像の目の前に植えた桜なので、熊野権現様にお詫びを申し上げました。熊野権現様は、千手観音、薬師如来、阿弥陀如来と言う三尊のへんげした御姿で「誕生、再生、出発」を意味する御利益があり、会津では、此処千葉寺のみ御出ましの神様なのです。もしかしたら、権現様の御利益で、新しい木達が生まれ変わって育ってくれるかもしれませぬ。
 他に大切にしていた山野草の鉢は次々壊れ、屋根ははがれ、雨どい、サッシ、外壁、エアコンの室外機の台の損傷と数えきれない程の大被害が明るみになって、今年は修理三昧でおます。

 ところで、大暴れのゆきちゃんに妖怪メールで、例の大暴れの原因を訊ねてみたところ、「わらわの仕業とちゃいますがな。わらわはせいぜい、気にいらん男はん凍らせたり、ちいと吹雪起こすのがせいぜいや。まあ、はっきりとは言えんけど、地球温暖化やな!夏は猛暑、冬は大雪。人間が人間住む処を住みにくうしとるっちゅうこっちゃ。人間はわらわ達妖怪と違うて便利な世界を選んで自然を壊しすぎたんやな」。まじ?ゆきちゃん、疑ってごめん(-_-;)

 なんだか、人間界に長くいるせいで、便利なことが当たり前になってたよ。雪のせいか古くなったせいか突然給湯器が壊れて、お湯が使えなくなり、一日中冷たい水で食器洗い、お風呂も入れぬのかと、その上、修理はゴールデンウイークでなんじゃらかんじゃら。わらわ達妖怪やお寺にはゴールデンウイークなんぞ関係あらへんねんで。お寺は365日体制やぞ!ねぶとりが頭にきて給湯器蹴とばしたら、いきなり治り、あったかいお湯が使えた時のありがたさ・・・人間の科学は素晴らしいけれど、自然は勿論、地球という星を壊したらあかんえ(-_-メ)

 大雪被害で、野鳥の遊び場のアケビの蔓を支えていた鉄管パイプも破壊されたので、半妖王子のお友達で親子の建設業さんにへんげしている烏天狗の親分子分に来て頂き、パイプの撤去を風が吹くが如く、あっという間に作業してもらったのですが、さすが烏天狗の親分さん、野鳥に造詣が深く、作業中も「ジョウビタキ」が隣の木の枝に止まって興味津々で見ていたら「あの子は雌じゃな。ジョウビタキは人間に慣れやすく、ヤマガラは人間に中々慣れないのじゃ。」とのこと。烏天狗の子分さんも鳥好きでインコちゃん達を飼育していたことがあったそう。
 烏天狗とは、かの鞍馬山で牛若丸に剣術を指南し、神通力にも優れていらはる妖怪なのですぞ。烏天狗さん達には、お寺のあちらこちらを修理して頂き、これからも長いお付き合いになりそうです。親分にゆっくり野鳥のお話を伺いたいのですが、なんせ烏天狗ですから、風のように現れて、風の如く去っていってしまうのです。毎日遊びに来てくれていたジョウビタキちゃんは、秋冬に来る野鳥なので、春の終わりには旅立ってしまい寂しくなりますが、その分、烏天狗さんがお寺の修理に、度々来てくださるそうで楽しみ(*^^)v ではまた、次回。