こなきじじい

 ごきげんよう。ねぶとりです。11月霜月になりました。今年もあと2ヶ月で終わってしまうなんて、なんと人間界の時の過ぎるのが早いこと。ねぶとりが新年の御挨拶をしたの がつい最近のようでありまする。

 この1年、お寺の境内では小さな感動が毎日あって飽きない日々でおました。。

 10月の終わり頃、暦の上では霜降(そうこう)の頃には今年も白鳥達が渡ってきました。 まるで御寺の本堂を目印にしてるかのように、仲間達と・・・今年の冬も宜しくね!挨拶みたいに鳴き声をあげつつ飛んで来るのでありんすよ。そして、稲刈り後の田んぼの落穂を食す白い姿をあちらこちらで見つけるのが冬の楽しみ(*^^)v

 白鳥達は、本当に仲間同士仲が良いというか、1匹では殆ど行動せず、外敵から身を守ることは勿論、春先に渡りをして行く時も仲間同士で鳴き交わして飛び・・・どうやら各地に散らばった集団は、一旦東北の北、青森あたりか北海道あたりでひと休みして、しばらくして大集団となりシベリアを目指していくそう。海の上も昼夜飛び続けていき、それも年に2回、春の初めと冬の初めを告げる季節に何千kmも渡りを繰り返し続けるという生き物達のDNAに組み込まれた不思議!何世紀も前から繰り替えされてきたのか知らぬが、生命の神秘に脱帽(*_*;

 生命の神秘と言えば今年は「チゴハヤブサ」 が境内で子育てをしてましたんえ。チゴハヤブサは、飛ぶ速さが鳥類一といわれている「ハヤブサ」という猛禽類の小型番のような鳥で、ハヤブサの大きさが40cmから50cm位とすればチゴハヤブサの大きさは30cm程度で、カラスよりも小さいけれどやはり猛禽類ですから、狩りがはじまると他の小鳥達は鳴き声を止める程の静けさになりまする。チゴハヤブサは春に飛来し、子育てが終わると秋の終わりにはまた暖かい地方へ移動する渡り鳥だそう。メスのほうが大型で、やはり奥様が強いんですかね (^^)

 我が寺院に新居を決めたペアは、どうやら杉木の間のカラスの古巣を利用したかリフォームして営巣し、夏頃には雛が餌をねだる鳴き声が響き続け、カラスと親鳥がやり合う姿も 度々みられましたんどす。雛達を守っていたのでしょう。夏の終わりには、巣立ちをして電線の上や木の枝に何匹かに分かれて親鳥と変わらない程の大きさになっても餌をねだる 声が暫く響いていたんどすが、お彼岸過ぎには親なのか子なのか、空高くから別れの挨拶のように鳴いて飛んで行ってから、姿も声も聞けなくなりんした。とうとう親子で南の 国へ旅立ったのでありましょう(^.^)/ その後は、またいつものカラスや鳥達の賑やかな境内となって、何となくちょっぴり寂しい様な(-.-) また来春元気に渡って来てくれるかな (^^)

 実は、ねぶとりは本物のハヤブサにも遭遇してるんだす。それも、ベトナムはホーチミンの高層階で。20階近くに泊まったホテルの開かない窓をコンコンと叩く何か・・・じ っと見ている猛禽類、まるでこちらを呼んでいるかの様な真ん丸なお目々で、此処開けてよ!と言わんばかりに(*_*; 宿泊している数日、その子は毎日窓辺に来ては窓をくちばしで叩いたりじっと見て居たり。しばらくすると風の様にビル街に消えて行く。日本に帰国して調べてみたら「ハヤブサ」と。妖怪が珍しかったのか、何か伝えたかったのか、わからずじまいでありんしたが、猛禽類をあんなにまじかに見たのは初めてで、高層階に現れて鳥類一と謳われる程の飛ぶ速さは、ファルコンかっこえ~!また出会いたいけれど、ベトナムは遠し(T_T)

 出会いたいといえば、妖怪仲間の「子泣きじじい」が妖怪の世界へ戻って行ってしまいまして。子泣きじじいは、子供の様に鳴いては人がおんぶしたりすると石の様に重くなって驚かす程度のあまり怖くない妖怪ですが、人間界でへんげした姿はねぶとりのお守役みたいな、相談役みたいな存在でしたんどす。畑で季節野菜を作りつつ近隣の相談役もこなすようなお人好しで、ねぶとりはいつも新鮮野菜を豊富に頂き、父妖怪「油すまし」が妖怪の世界に帰ろっかな?になりそうな時も泣き虫ねぶとりを励ましてくれたのに・・・。「ねぶとりはんは、人間界でまだまだ沢山修行せなあかん!」なんて言いつつ、さっさと妖怪界へ(T_T) まだまだ相談したいことあったのに。まるでハヤブサみたいに風の如く戻って行ってしまうなんて。でも妖怪だもん、また何処かで、へんげして出会えるよね (^^♪

 では、また次回。