式神

ごきげんよう。ねぶとりです。8月葉月になりました。毎日危険な猛暑の中、人間界の皆様お身体大丈夫でいらはりますか?地球全体がまるで燃えているかのようで・・・。

 またまた何故何故コーナー・・・何故、8月が葉月なのか?諸説ありますが、有力なのは、初来月(はつきつき)。何かが初めて来る月と言う意味ですね。
 さて何が初めて来るのか?8月は実はもう初秋、今の暦でも立秋は8月7日です。本来ですと、立秋過ぎると残暑見舞い等どんなに猛暑だろうと日本の習わしでは残暑と呼ばなくてならないのであり、秋なんて全く感じない現代の8月なんですけど(*_*;

 つまり、初雁(はつかり)何だか、昔こんな名前の列車があった様な・・・。秋になる頃「雁」という鳥(ガンともいう渡り鳥)が群れで飛来してくるのが「初雁」で、雁が初めて来るからはつきつきと呼ばれたという説。現代では雁の飛来する光景も、環境悪化のせいか雁の姿すらも殆ど見られなくなっておりまする。群れでV字形に飛んでいる原風景は、日本の秋の象徴であったのでしょう。因みに、豆腐料理の雁もどき(飛竜頭とも言う)は、元々雁の肉がかなり美味だったので、豆腐に雁の肉を模して造られ精進料理に使われる様になったのではと・・・雁もどき大好き(*^^)v

 他に月見月、木染月、秋風月、等々いかにも秋の風情満載の別名があるそう。

 立秋が過ぎると、間もなく月遅れのお盆がやってまいりまする。御先祖様が各御家に御戻りになっていらっしゃるのが、8月13日から16日です。

 実は、昨年のお盆前、ねぶとりの式神(しきがみ)が、狗神(いぬがみ)様の世界に帰ってしまったのでした。式神とは、かの陰陽師で有名な安倍晴明(あべのせいめい)が神遣い、つまり自分の代わりに変わり身としたり、御使いを頼むみたいな感じかな・・・鬼を使っていたともいわれており、蝶だったり、人型だったり、様々使い分けていたといわれておりまする。

 ねぶとりの式神は犬型で最初の子は真っ白い子でしたが、この式神も不思議な力のある子でねぶとりを守り尽くしてくれましたが、実は当山宗祖の弘法大師空海様が高野山を目指していられた時、道案内をしたのが白い犬だったそう。ねぶとりの最初の式神が狗神様の元に旅立って悲しんでいた処夢に現れ遣わしてくれた二番目の子が雲母(きらら)といい、妖怪の式神のくせに食いしん坊でおきゃんで、ねぶとりの言いつけは殆ど聞かず全然式神の御使いをしないばかりか、住職の娘の様なお姫様の様な存在・・・我儘いっぱいで寂しがり屋の式神でありました。雲母が式神となって十数年過ぎ、ねぶとりも住職も雲母の居ない生活なんて考えもしませんでした。食いしん坊過ぎて、焼き鳥の串まで食べてしまい大騒ぎしたり、住職のお口の中に頭をつっこんでおねだりしたり・・・人間界の良い子はマネしないでね(>_<)
 暑い日は暑いから歩きたくないと住職にだっこをせがみ、寒い日は冷たい雪の上を歩くのは嫌だと抱いてもらい、式神としてのしつけ等関係ないもんと住職べったりで法務で留守になるとずっと玄関や出入り口をうろうろ、そわそわ。帰っていらはると、しがみつく様に「ぱぴゅ!ぱぴゅ!」と・・・雲母は住職を「ぱぴゅ」と呼ぶというか鳴くというか、自分の父親と思っていた様で。

 まだまだ式神として家族の一員として居てあたり前のはずだったのに・・・昨年の7月初め頃、突然「雲母は、旅に出まする。こんなに暑い人間界は辛すぎまする!」そして3週間黙々と食事も摂らず旅の準備をし、8月3日の早朝「長い間お世話になりました。ねぶとり様やぱぴゅへの御恩はわすれませぬ!お元気で。狗神様の元に戻りまする。おさらばえ」と勝手に旅立って行ってしまいましたのでありまする。ねぶとりも住職も取り乱し、何度も戻って来る様懇願しましたが、狗神様が「雲母は式神としてねぶとりは元より人間界でも愛され、そなた達の為に良く働いたのじゃ。静かに休ませておやり」と。(T_T)

 今年のお盆には御先祖様方とともに、きっと雲母も戻ってきてくれるでしょう・・・心待ちにしつつ(^_^)/。では、また次回。